神戸六甲まぼろしの美女

江戸川乱歩の「押絵と旅する男」

死者の復讐…

土ワイNo.602F
初放送日1989/08/26(土)
原作創元推理文庫版表紙
 江戸川乱歩 『押絵と旅する男
脚本吉田剛
音楽鏑木創
監督村川透
制作テレビ朝日、松竹
DVDデータDVDジャケット写真
発売日2009/03/11(水)
発売元キングレコード
番号KIBF-3213
価格3,675円税込(3,500円税別)
映像特典60秒予告/30秒予告/15秒予告/ハイライト
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DVD-BOXデータDVD-BOXジャケット写真
発売日2009/01/07(水)
発売元キングレコード
番号KIBF-93209〜93216
価格29,400円税込(28,000円税別)
備考トールサイズ×8巻&別冊ブックレットを収納したBOX仕様。「妖しいメロディの美女」「黒い仮面の美女」「赤い乗馬服の美女」「日時計館の美女」「神戸六甲まぼろしの美女」「妖しい稲妻の美女」「からくり人形の美女」「みだらな喪服の美女」を収録。なお、「からくり人形の美女」は権利上の事情により一部本編中の音楽をテレビ放映時と異なるものに差し替えている箇所があり。
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コラム:神戸六甲まぼろしの美女について(結末にも触れていますので注意!!)
キャスト
明智小五郎北大路欣也
舞谷藤子南條玲子
文代高見恭子
福田弥生大沢逸美
 中村雅子
瀬島国男田中浩二
小林少年岡崎浩一
 有田麻里
 堀井正人
 林いちこ
 井上正彦
 入江英義
 水上広一
 藤沢慎介
 猪野修
 井上浩
 上村真也
 寺田勝利
 北村聡美
 安富恵玲奈
 萬代毅
 園田倉人
瀬島戸浦六宏
福田根上淳
波越警部坂上二郎
スタッフ
プロデューサー佐藤涼一 (テレビ朝日)
佐々木孟
原作江戸川乱歩
脚本吉田剛
音楽鏑木創
撮影坂本典隆
美術渡辺仁
照明八亀実
録音米山英明
調音小尾幸魚
編集後藤彦治
記録渋谷康子
装置映美
装飾矢野貴章
美粧相馬優子
スチール樋口通
広報担当津田宗司
衣裳大塚一良 (松竹衣裳)
押絵制作谷弥生
フラワーデザイン栗本久代
現像IMAGICA
車輌ブーム
助監督福島孔道
制作主任尾崎誠
制作担当大川修
衣裳協力XEBIO
AGGIE GREY'S
itariyard coltd
VIVAYOU
HIROMICHI NAKANO
撮影協力神戸国際観光協会
ポートピア ホテル
六甲山ホテル
スペースT33
(株)ティーエスプランニング
横浜フラワーデザインスクール
オムロン・マイコンベース銀座店
監督村川透
制作テレビ朝日
松竹株式会社
『神戸六甲まぼろしの美女について』

 北大路欣也主演作には、“妙な味”の作品がある。
 本作がまさしくそうで、脚本家とプロデューサーは何を考えてこの作品を製作したのだかが分からない。
 原作は、乱歩作品の中でも初期の傑作短編、『押絵と旅する男』。しかし、これは明智探偵が登場しないうえに、殺人事件が起こる探偵小説ですらない。”奇妙な味”の小説なのだ。

 これまでも土ワイでは、明智が登場しない”奇妙な味”の小説が、明智物としてドラマ化されたことはある(『天使と悪魔の美女(白昼夢)』『禁断の実の美女(人間椅子)』など)。しかし、今回のドラマ化ほど、違和感が残るものではなかった。なぜなら、これまでは原作からはタイトルだけを借りて本編は別の作品から取っていたり、それなりに推理ドラマとしての骨格を備えていたからである。
 この作品がこれまでのいずれとも異なるのは、結局、真犯人に自白させることはできたが、そこに「超自然的な力=愛の力」を介在させてしまったことだろう。犯人の代わりに、謀略で殺された恋人の「愛の力」で押絵が歳を取っていった、というのだ。そして、本来なら60歳の老女であるはずの犯人は、どう見ても20代にしか見えない。最後、罪を暴かれ進退窮まった犯人は、自らの年齢が封じ込められた押絵を引き剥がす。ここからがホラーだ。京都妖怪地図か何かを見てるんじゃないかと思わせる。急にどこからか風が吹き、見る見るうちに犯人の姿は若い美女から白髪の老婆へ……しかし、メイクが下手くそで。フィルム撮影だから少しは救われたけど、これでビデオ撮影だったらとても見られたものではないですな、という出来の老婆への変身だった(苦笑)。更には老婆になった(本来の年齢に戻った)犯人は車で逃走。明智も、小林の運転する車で後を追うが、結局、逃走車は明智たちの目の前で爆発、炎上。しかし、焼けた車の中からは犯人の姿は発見できなかった……。犯人が逃亡して死んで(?)、犯人の家に戻った明智は、そこで若返った女性の押絵を発見する。封じ込められていた年齢を犯人に戻したため、押絵の方は最初に作られた年齢に戻った、というのだ。

 北大路版でおなじみ、最後のパソコンへの事件名入力のシーンでは、「この事件は記録しなくていい」という明智の言葉でしめている。それはそうだろう。「超自然な力」で解決するなら、明智のような名探偵は不必要だからだ。乱歩も、本格探偵小説を書く時に明智を出すと論理的に解決させなければいけないからという理由で、出さなかったケースが多かったくらいである。
 それがここでは禁を犯してしまった。
 この反動か、次回作は土ワイで2度目のドラマ化となる「魔術師」だったが、これが北大路欣也の明智小五郎の見納めになるとは夢にも思わなかった。時代劇に精力的な北大路も、火サスで検事シリーズ、土ワイでも「事件」シリーズなどと2時間の現代劇も続けているだけに、明智の降板は残念なことだが、それについては「妖しい稲妻の美女について」で語ることにしよう。

夢野みさを